自社ローンで新車の購入は難しい?仕組みやメリット・デメリットとは
「新車を購入したいけれど、ローンが通るか心配」このような悩みで、新車の購入を諦めていませんか。車の購入時には、分割払いで月々無理のない範囲で支払える自動車ローンが利用できます。そこで今回は、自社ローンの仕組みやメリット・デメリットについて解説します。自社ローンを検討している人は、ぜひ参考にしてくださいね。
自社ローンで新車の購入は難しい
自社ローンとは、自動車販売店が独自で提供しているローンのことです。自社ローンは一部の自動車販売店で提供されており、すべての販売店で提供されているわけではありません。
自社ローンはおもに中古車販売店で提供されています。新車を扱う販売店でも自社ローンを提供していることがありますが、どの車でも自社ローンが利用できるわけではなく、自由に選べるのではありません。制限の中で車を選ぶか、新車を諦めて状態のよい新古車にするかの2つから選択を迫られるでしょう。
自社ローンの仕組み
自社ローンは銀行や信販会社を通さないローンです。自動車販売店と車の購入者で直接契約することで、ローンの利用が可能になります。販売店が分割払いでの購入を受け付けている、独自のサービスと考えていいでしょう。通常の自動車ローンでは、審判会社の審査を通してからでないと、ローンが利用できません。
そのため、過去に自己破産や債務整理を行っている、いわゆるブラックリスト掲載者でもローンを利用して車が購入できる可能性があります。一般的な自動車ローンでは、借入額に対し年利数パーセントの金利が設定されています。数百万円の新車を購入すると、金利がわずか5%であっても数十万円の利子を支払わなくてはいけません。これに対し、自社ローンの金利は無料です。
利子の支払いを考慮する必要がなく、車両本体価格と諸費用のみの支払いで車が購入できます。自社ローンの申込には、身分証明書や印鑑証明書、住民票などが必要です。利用を考えているなら、早めに書類を用意しておきましょう。
自社ローンのメリット・デメリット
ここからは、自社ローンを利用して車を購入するメリット・デメリットを見てみましょう。
自社ローンのメリット
自社ローンの最大のメリットは審査に通りやすい点です。事情があって銀行やディーラーの自動車ローンの審査に通らなかった人でも、自社ローンならハードルが低いといえるでしょう。過去に金融事故をおこしている人やアルバイト勤務の人、すでに複数のローンを組んでいる人でも、自社ローンならチャンスがあります。
また、手続きのスピード感においても、自社ローンは優秀です。信販会社を通さず直接契約でローンが組めるため、審査完了までに時間がかかりません。なるべく早く車を購入したい人、ほかのローンとの兼ね合いで早く結果が知りたい人は安心できるでしょう。
また、ほとんどの自社ローンは金利無料で提供されています。なぜなら自動車販売店は貸金業者ではないからです。貸金業務取扱主任者が在籍していない会社やお店では、金利を設定してお金を貸すことができません。とはいえ、金利の代わりに保証料や手数料などの費用が発生するので注意しましょう。
自社ローンのデメリット
自社ローンは金利が無料で提供されているとお伝えしました。金利が無料なら、最終的に払う金額に差額がないようにも思えます。しかし自社ローンの多くでは、保証料や手数料がかかります。保証料や手数料の設定額は、自動車販売店によって異なりますが、借入金の10~20%が相場。
一括で支払うよりも1~2割ほど高くなる点には注意しましょう。また自社ローンは頭金が必須条件になっていることがあります。まとまったお金を用意できないと自社ローンが利用できない可能性も視野に入れておきましょう。支払い回数も通常の自動車ローンより少ない傾向にあります。分割回数が少ないと、毎月の支払額が高くなるため慎重に利用を検討しましょう。
そもそも自社ローンは、提供している自動車販売店によってその内容が大きく異なります。先ほどの保証料や手数料の相場にもひらきがあるうえ、保証人が必要なケースもあります。それぞれで設定している条件や契約内容を正しく理解し、不明点はその場で必ず相談して解決しましょう。
なお、返済が完了するまでは販売店が車の所有者です。返済が厳しくなったからといって、勝手に売却したり譲渡したりすることはできません。また万が一、車の販売店が倒産すると、車を債権者に差し押さえられるリスクもあります。自社ローンのデメリットも理解した上で利用を検討しましょう。
自社ローン体験談
実際に自社ローンを利用した人の体験談を紹介します。
「手数料が高くて想定していたよりも出費が増えた」
銀行のローン審査に落ちてしまったため、自社ローンを利用して中古車を買った方によると「手数料が高くて想定していたよりも出費が増えてしまった」とのことでした。借金を滞納した履歴があったり、自己破産をしたことがあったりと信用情報に不安がある方には自社ローンが向いています。
しかし、自社ローンは審査に通りやすいというメリットがあるという一方で、保険料や手数料がかかるというデメリットがあります。金利がかからない代わりに、車両本体価格の1~2割ほどの手数料や保険料が上乗せされているのが一般的です。
なお、中には保険料や手数料がかからないことをウリにしている販売店もありますが、既に車の販売価格に含まれていることがほとんどです。その結果、想定よりも高かったと感じるユーザーが多いようです。
「ローン完済するまで売却できなかった」
自社ローンを利用して購入した車の所有権は、返済が完了するまでは販売店にあります。そのため、分割支払いの途中で車が不要になったとしても、勝手に売却することはできません。
一方、銀行系ローンを利用した場合は、購入した時点で契約者が所有権を持つことができます。購入者自身が車の所有者なので、すぐに車を売却したり、買い替えたりすることができます。
なお、ディーラーローンに関しては、ローンを完済するまではディーラーもしくは信販会社が所有権を持ちます。「所有権留保」といって車が借入金の担保になっている状態ではありますが、銀行系ローンに借り換えることで所有権を自分で持つことが可能です。
自社ローンはあくまでも、販売店が車の購入費用を立て替えてくれる分割払いシステムであり、銀行やディーラーが提供しているような金融商品ではありません。つまり、銀行系ローンを利用した場合のように途中で売却することはできないため、注意しましょう。
「手続きが楽で、とくに困ったことはなかった」
自社ローンはやめた方がいいと言われる一方で「手続きが楽で、とくに困ったことはなかった」と話す方もいます。自社ローンは、信販会社を通さずに顧客と販売店との間で直接契約を結ぶため、販売店独自の基準で審査が行われます。
そのため、銀行系ローンやディーラーローンと比べて審査に通りやすく、結果が出るのが早い傾向にあります。審査がすぐに終わるため、納車までスピーディーに手続きが進められます。販売店によっては、即日納車も可能です。
書類の手続きも比較的簡単なので、手間と時間がかかりにくいでしょう。納車を急いでいる方にはおすすめです。
自社ローンをやめた方が良い理由とは?
自社ローンをやめた方がいいと言われている理由を解説します。
車がきちんと整備されていない可能性があるから
自社ローンを取り扱っているのは、主に中古車販売店です。そのため、購入できるのはほとんどが中古車ですが、中には整備が不十分のまま販売されているケースがあるため、注意しましょう。
整備がきちんと行われていない車は、故障やトラブルを引き起こすリスクがあります。もちろん、多くの販売店ではしっかりと整備を行っていますが、ぱっと見では判断が難しいものです。実際に利用した方の口コミなどを参考にして、慎重に販売店を選ぶことをおすすめします。
保証人が必要であるから
一般的な自動車ローンの場合には保証人を求められることはほぼほぼありませんが、自社ローンの場合は支払いが延滞した場合に備えて保証人や保証会社の利用が必要になります。万が一、返済が滞ると、連帯保証人に返済の義務が生じます。
連帯保証人になるのは配偶者や親族、両親などが一般的ですが、条件として「安定した収入があること」と定められています。そのため、年金生活者などでは不十分とみなされるでしょう。
保証人が立てられない場合には保証会社の利用を求められますが、その際には保証金が上乗せされることを念頭に置いておきましょう。
月々の支払いが高くなるから
金利がかかる一般的なローンの場合、長期間にわたる分割を選択できます。車両本体価格を36~120回に分けて支払うため、月々の支払い負担が軽減されます。
しかし、自社ローンの場合には、それぞれの販売店が費用を立て替えているため、短期間の支払いが求められます。一般的には、12~36回の中で選ぶことになるため、月々の支払額が高くなりやすい傾向にあります。
自社ローンを契約して車を購入しても、毎月の支払いの負担が大きいために後悔している方も少なくありません。
利用できる販売店が限られているから
自社ローンを取り扱っている販売店はごく一部なので、限られた選択肢の中で選ぶことになります。また、自社ローンを提供している販売店では中古車を中心に販売しており、新車はほとんど取り扱っていません。新車を購入したいと考えている方にとっては、デメリットと言えるでしょう。
さらに、自社ローンの利用限度額は、一般的なローンよりも低く設定されています。高額な車の購入には利用できないケースがほとんどなので、希望しているグレードや車種を選べない可能性が高いでしょう。
年式が古かったり、修復歴があったりする中古車や軽自動車などの比較的安価な車種の中から選ぶことになります。
車を引き揚げられるケースがあるから
自社ローンでは、購入した車を担保として貸し付けを行っています。そのため、利用者が支払いを滞ると、車を引き揚げられてしまうことがあります。
販売店によっては、いつでも車を差し押さえできるように、車にGPSやエンジンがかからなくなるように遠隔制御できる装置を取り付けているところもあります。GPSが取り付けられると、プライバシーが気になるだけでなく、取り付け費用や通信費がかかって、総支払額が高くなってしまいます。
なお、差し押さえられた際の車の状態によっては、原状回復費の支払いが求められるケースもあります。想定外の出費がかかることがあるため、注意が必要です。
また、契約者が毎月延滞することなく支払いを続けていたとしても、販売店が倒産してしまったら資産として車を引き揚げられる可能性があります。このように、一般的なローンにはないデメリットが存在することから、利用をおすすめしないと言われているようです。
手数料や保証料が上乗せされるから
自社ローンは金融商品ではないため、金利はかかりません。一見すると、安く感じる方がいるかもしれませんが、そうとも限りません。
本来は貸し付けではない自社ローンに金利がかからないのは当然のことですが、その代わりに手数料や保証料が発生します。販売店の多くは、車両本体価格に1~2割ほどの手数料・保証料を上乗せして販売しています。
総支払額で比較すると、金利がかかる銀行系ローンやディーラーローンよりも高い傾向にあります。費用を抑えたいからといって自社ローンを選ぶと、かえって高くつくケースも少なくありません。
自社ローンを利用する際には、金利がないことだけで安易に契約するのではなく、支払い総額を比較することが大切です。契約後に後悔することのないよう、ほかのローンも視野に入れて、自分にとってより良い選択をしましょう。
車の所有権が販売店にあるから
自社ローンを利用しない方がいいと言われる理由の一つとして「車の所有権が販売店にあること」が挙げられます。知らない方も多いですが、自社ローン返済中の車の所有権は、購入者ではなく販売店にあります。
ローンを返済するまでは所有権がないため、勝手に売却することはできません。買い替えを希望する場合には、ローンを完済する必要があります。
なお、ローン完済後は所有権が解除されて自分名義に変更されます。それまでは、車の売却はもちろん、改造することもできませんので、注意しましょう。
さまざまな事情でローンが組めない人でも、自社ローンなら審査が通りやすいためおすすめです。保証料や手数料がかかり、保証人を求められることもありますが、分割支払いで車を購入できます。諦めずに申請してみましょう。しかし自社ローンといえども借金です。最終的な支払額を計算し、本当にローンを組んでも大丈夫か、冷静に判断することが重要です。無理のない返済計画を立て、確実に期日内に返済しましょう。